PSU小説19
第19話「伴う痛み」
ユニット移植手術当日、今日も白衣の若い男はヘビーガンの入っている溶液のカプセルの前にいた。
「いよいよ手術当日だ。過酷なものとなるだろうが………頼む」
若い男はそう言うと、端末を操作しカプセル内の溶液を排水させ、ハッチを開放する。
「…………」
開放されたハッチから出てきたヘビーガンは無言で頷き、そのまま溶液カプセルの立ち並ぶ部屋を後にし、手術室へと通じる通路を歩いて行く。
「何もできない私を………許して、くれ……………」
その後姿を見送りながらも、何も出来ない自分を呪うように、若い男は静かに、だが力のこもった声でそう呟いていた。
・
・
・
・
ヘビーガンは、ぼんやりと目の前に照らされている明かりを見ている。
手術が始まって一体どのくらいの時間がたっただろう?それとも終わったのだろうか?
そんな事を、ただただぼんやりと考えていた。
「………手術は成功のようだな」
「あぁ……だが、ここまではどの被験体も大体が順調だ………問題はこの後だろうな…………」
ぼんやりとした頭に、研究員達の話し声が聞こえてくる。
「とはいえ、失敗すれば廃棄処分するだけだがな」
「だな?ははははははははっ!」
手術室に響き渡る不快な笑い声。
そして、彼は意識を失った。
・
・
・
・
「気分はどうだい?No5160………手術の方は成功だと聞いているが……」
心配そうにそう聞く若い男に、何時も通りにカプセルの溶液に身を浮かべながら頷くヘビーガン。
「それはよかった………私は、そのユニットについては専門外だからよくは解らないが、頭痛などがしたらすぐに言ってくれ」
そう言いながらも、若い男は手元の資料に目を通している。
一方のヘビーガンは、あまりに何時もどおりなために、新しいユニットを移植されたという実感すら湧いていなかった。
「よし………では、そろそろ昼食の時間だな」
若い男はそう言うと、ヘビーガンの入っているカプセルから溶液を抜く。
すると、ヘビーガンは何時もそうするようにハッチを明けて外へと出て、用意されているペロリーメイトとコルトバジュースを採る。
だが、
「ぐっ…………」
コルトバジュースの注がれたグラスを取り落とすと、ヘビーガンは急に頭を抑えてその場にうずくまってしまう。
「どうした?No5160?」
「うっ、ぐうぅぅぅぅぅ………」
心配した若い男が駆け寄るが、ヘビーガンは苦しそうに唸っているだけだ。
「これが、例の………待ってろよ、今救護を呼んでくるから!」
若い男はすぐさま近くの電話へと走っていく。
だが、その間にも頭痛がヘビーガンのAIを襲い続ける。
(なんだ……これは………、大量の情報が……入って、きて………頭が、割れ……る…………)
常に周囲から大量の情報が入ってくる。
しかもそれらの情報は、ヘビーガンにとっては全く意味のないような情報ばかりだ。
憎しみ、悲しみ、慈しみ、喜び…………
抽象的に言えばそう表現されるべきであろう感情が、情報として彼の中に無作為に土石流のように流れ込む。
だが、感情をあまり持たぬヘビーガンにとっては、ただの意味の解らない不要な情報郡にしか過ぎない。
しかもそれらが、今までは全くといっていいほど使わなかったAIの領域に入ってくるのだ。それに伴う頭痛は相当なものとなる。
「え?なんだって!?状況を観察して報告しろ?こっちはそんな事をしている場合じゃ………彼は苦しんでるんですよ!?」
そんな中で、若い男は必死で電話にかじりついているが、中々埒が開かないといったような雰囲気だ。
「頭が……割れるっ………うっぐぉおぉぉぉぉぉぉ!」
「もういい!こっちでなんとかする!くそ、どうすれば………どうすりゃあいいんだ………」
さらに苦しむヘビーガンを見て、電話を切ると彼に駆け寄り何か方法はないかと若い男は頭を悩ませる。
だが、そんな若い男の助けたいという気持ちに比例するかのように、ヘビーガンの頭痛は酷くなっていく。
「ぐ、が、あぁぁぁぁぁぁ………!」
すでに彼のAIは、その処理能力の限界を大幅に超える情報量のせいでオーバーヒート寸前だ。
そして、ついに、
「ぐ、うっ…………」
「おい、No5160?………おい!」
処理能力の限界を超えたAIが、オーバーヒートを防ぐために強制的にスリープモードへと移行、ヘビーガンは気を失ってしまった。
・
・
・
・
~あとがき~
どうも~
をあさです。
ヘビガンの過去編その2です。
ヘビガンの過去はあと1~2話ほどで完結予定なので、その間にきちんと纏めていきたいと思います。
では、いるかどうかは分かりませんが、愛読者の皆様は続きを楽しんで待っていてくださいw
・
・
・
[コメント返信]
・Lioh殿
いえいえ、チャットとかチャットとかいっぱいありますって!;
ほほぅ、いいですなぁw
自分もディテールアップしてみたいです;


サイト運営し始めた者なんですが、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://hikaku-lin.com/link/register.html
こちらより、相互リンクしていただけると嬉しいです。
まだまだ、未熟なサイトですが、少しずつコンテンツを充実させていきたいと思ってます。
突然、失礼しました。
xAIMyJeZ
投稿: hikaku | 2009年7月 6日 (月) 04時05分
まぁチャットは楽しいですがね〜w
アギト作って強化してからは何故かほとばしる虚無感www
復帰は一応考えてますがフレ絶滅しかけなのが悲しすぎる〜………
投稿: Lioh | 2009年7月 6日 (月) 18時34分