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2011年4月24日 (日)

PSPo2小説01

[注意書き]
この小説は株式会社SEGAから発売されているPSPo2の二次創作小説です。
原作をプレイしただけではわからない部分には作者独自の解釈などが含まれますので、苦手な方はご注意下さい。

第1話「ビーストの少女」

 此処はモトゥブ郊外にあるとある酒場。そのカウンターで1人のビーストの少女が酒場の主と何やら話をしていた。
「いやぁ、君にはいつも世話になってしまってすまないね」
「いえいえ、私もこの酒場ではいつも依頼を回してもらっていますから、お互い様ですよ」
 その少女は、年の頃は18くらいであり肌は健康的な小麦色、髪は綺麗な黄金色で短めに切っていることが見て伺える。
「あ、そうだそうだ……これを持っていくといい。今日のあまりですまないが………」
 そう言うと酒場の主はカウンターの上に何やら大きめのタッパーとビンを取り出した。
中身は酒場でよく出されるおつまみとスパイシアと呼ばれるモトゥブの郷土料理であった。
「ありがとうございます!」
 少女は嬉しそうにそうお礼をした。
「いやいや、あまりモノだけですまないね……。じゃあ、また頼むよヤックルちゃん」
 酒場の主がそう言うと少女……ヤックルは別れを告げ、酒場を出てそのまま帰路へと着いた。
彼女が此処に来たのは2年ほど前。以前務めていたガーディアンズを退職した彼女は、PMであるGH420鈴音と共にこの地へやって来た。
そして、ガーディアンズでの経験を生かすためにフリーの傭兵として酒場の依頼をこなし、生活してきたのである。
 彼女が家に帰宅すると、家の奥からてちてちと形容できるような小さな足音が玄関へと近づいてきた。ヤックルのPMである鈴音だ。
「おかえりなさい!」
「ただいま~鈴音」
 ヤックルは出迎えてくれた鈴音の頭を撫でると、そのままドレッシングルームに入り部屋着へと着替えを済ました。そして日課であるビジフォンの確認を行った。
「またかぁ……」
 ビジフォンでニュースを確認すると、ヤックルは溜息をついた。
「また例の行方不明事件ですか?ご主人様」
 キッチンから飲み物を持ってきた鈴音がそれを差し出しながらそう聞いた。
ヤックルはそれに対してビジフォンを眺めながら無言で頷いた。
「けど、行方不明になった人はすぐに無事に帰ってきているし、その数も少ない………そこまで心配する必要は無いと思いますよ?」
「そう、かなぁ………」
 差し出された飲み物を鈴音から受け取りながら、ヤックルは不安そうにそう応える。
ヤックルが心配していたこの事件は、鈴音の言ったとおり被害者の少なさや行方不明者がすぐに帰ってくることからあまり大きな事件としては報じられておらず注目する者も少なかった。
だが、SEED事変を生き抜いてきたヤックルの本能はこの事件に対して警鐘を鳴らしているようであるのだった。
「そういえば、お義父様から荷物が届いていますよ?GRMキュウビンで」
 ふと思い出したかのように鈴音はそう言うと、自らのナノトランサーからGRMキュウビンのロゴの入った箱を取り出した。
「なんだろ……?」
 箱を受け取って差出人を確認してみると、確かにそこにはヤックルの義父であるヘビーガンの名があった。
彼女の義父であるヘビーガンは現在同盟軍に所属する大尉であるが、元はガーディアンズ所属であり、その頃の任務中にまだ幼い孤児であったヤックルを拾い養子とした。それ以降、彼は自らのPMであるGH430パイラヴァと共にヤックルをとても大切に育ててきた。
ヤックルが15歳になる頃にはヘビーガンは同盟軍へと入隊しており、彼女も1人立ちをしていたが、3年前に起きたSEED事変に際してヤックルがガーディアンズへと入隊するのを親心から反対。その決意が固く止められないと知ると、ガーディアンズ時代からの友人であるユウにその面倒を頼むという一種の親馬鹿とも取れる性格をしていた。
 そんなヘビーガンからは、義娘に対して度々生活に役立つものや手製で日持ちがする料理などが送られてきていた。
「ちょうど食べたいと思っていたんだよね~。流石は義父さん!」
 ヤックルが箱を開けてみると、そこにはヘビーガンの手製であり本人の大好物であるカレーが入っていた。
ヤックル自身、自他共に認める所謂パパっ子というやつでありこういった義父からのお節介じみた親切を嬉しくも思い、さらに子は親に似るという言葉通りに彼女もカレーが大好物であったからこの贈り物には嬉しい様子であった。
「ではご主人様、今夜はカレーにしますか?」
「そうだね、じゃあ鈴音準備お願いね!」
 鈴音は元気よく応え、キッチンへとカレーを持って入って行った。
それを見届けたヤックルは、緊張を解すために少し背伸びをするとビジフォンの電源を落としたのであった。

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コメント

ヘビーガンさんが子持ちに(・ω・`)

むむ、子持ち設定がここにも!?ミュラにはいませんからね!!
でもうまいな~・・・。これだけ書くのがどれだけ大変かがわかる今日この頃・・・。

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