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2011年5月 8日 (日)

PSPo2小説03

[注意書き]
この小説は株式会社SEGAから発売されているPSPo2の二次創作小説です。
原作をプレイしただけではわからない部分には作者独自の解釈などが含まれますので、苦手な方はご注意下さい。

第3話「義父」

 エマニュエル失踪の報から数日後、パルムにある旧メルボアシティのとある区画において同盟軍の軍事演習が行われていた。
このメルボアは、元々はパルムの首都であったのだがSEED襲来より以前に起きた謎の大爆発事故によって廃墟となり、以降は浮浪者などしか住み着かない地域となっていた。
しかし、SEED事変中に起きたガーディアンズコロニー落下の影響もあって、現在では一般民間人の立ち入りは厳しく規制され、浮浪者ですら立ち入ることはなくなっていた。
そのため、同盟軍はこの場所の一画を演習場としている。
「こちら1901」
「こちら1902、これよりポイントβに突入を開始する」
「了解、秒読み合わせは1903に移行」
 頭部に内蔵されている通信機器を使用し、指揮官キャストが部下に指示を出していた。
「了解。15、14、13、12………」
 彼が指示を出すのと同時に秒読みが開始される。
そして、4人の完全装備のキャストが目の前にある重厚な扉に張り付いた。
「…………」
 指揮官がハンドサインで指示を出すと、部下が素早く小型の爆弾を扉に設置する。
「5、4、3、2、1、0!」
 秒読みの終了と同時に、部下のキャストが手に持っていた手の平ほどの装置で起爆した。
轟音と共に扉が部屋の内側へと吹き飛び、彼らは突入した。
「………クリア!」
「クリア!」
 部屋内部を全て確認し終えると、全員が一箇所に集まる。
「こちら1901……1902状況報告」
「こちら1902。ポイントβ内はクリア、目標見当たりません」
「そうか……引き続き付近の警戒を怠るな」
「了解」
 指揮官は通信を切ると部下を見渡した。
「大尉……こいつはどういうことです?どちらにもいないなんて………」
「わからん……だが、まだ近くにはいるはずだ。警戒を怠らず付近を捜索しろ」
「了解!」
 うろたえる部下に指示を与えると、指揮官は自身も付近を捜索し始めた。
だが、それも一発の銃声によってすぐさま中断される。
「どうした!」
 彼がそう言うよりも早く、扉近辺にいた部下が地面に倒れる。
すぐ近くにいた一人が振り向き様に扉付近にマシンガンでフォトン弾をばら撒くも、すぐに沈黙させられた。
指揮官はすぐに付近にあった遮蔽物に身を隠し物陰から同盟軍正式採用ライフルのバーストのフルオートで反撃する。
「大尉!やつら………」
「今はそれどころじゃあない!ともかく、撃退するぞ!」
 残った部下と共に襲撃者に対しての反撃を開始する。
どちらも物陰からの射撃のために中々埒が開かない泥沼な状況へと入り込んでいく。
その時、敵からの銃声が止み代わりに室内に金属が転がるような音が響く。
「しまっ………!」
 彼らが言葉を発する前に視界と聴覚は塗りつぶされ、その場に押し倒された。

「お疲れ様だな、ヘビーガン大尉」
 演習が終わり、部隊が撤収し終わった後に指揮官ことヘビーガンはそう背後から声を掛けられた。
誰かと思って彼が振り向くとそこにはよく見慣れた人物が立っている。
「ジェガン大尉殿。お疲れ様です」
「お互い、散々なやられようだったな?」
 ジェガンと呼ばれたキャストはそういうと、ヘビーガンの隣に並んで歩調を合わせた。
「全く、不甲斐無いですがね………」
 ヘビーガンは少し悔しそうにそう漏らす。
その心境は隣を歩くジェガンも同じであろう。
彼らはSEED事変以前から同盟軍に所属してきたいわばベテランである。
そんな彼らが今回の演習でこのような結果しか残せなかったのには少なからず訳があった。
それは、SEED事変において優秀な部下を多く失い、またその代わりに練度の低い兵士が補充されたからだ。
 あの事変の際、同盟軍は大きな打撃を受けその全体としての機能は麻痺してしまった。
現在、同盟軍総司令官となったフルエン・カーツの努力があってここまで軍としての機能を回復してきたが、実戦を知る兵を多数失った損害はそう簡単に戻せるものではないのだ。
「だが……世の中にとってはこれで良いのかもしれんな」
 ポツリとジェガンはそう呟いた。
「そうかもしれません……」
 ジェガンの言葉にはヘビーガンも賛成であった。
いつの世も、軍機関というものが金食い虫であることこそが平和の証であり望まれるべきことである。
さらに、今まで軍や太陽系警察が受け持っていたグラール太陽系全般の事件も、現在はガーディアンズなどの民間軍事会社によって分割カバーされているため、同盟軍のみに戦力の集中をする必要はないのだ。
「しかし、有事に際しての対応はできるようにしなければ………」
「当然だ。そのために、我々のような生き残りがこうやって次の世代を育てなければならない」
 あの脅威から早くも3年。
彼らは古い世代として、新しい世代に全てを託していくことを決意していた。
 彼らがそうやって話し合っていうちにいつの間にか市街地へと入っていたようで、静寂に包まれていたメルボアのときとは打って変わって彼らの周りは人々の喧騒で満ち溢れていた。
「ん?ヘビーガン、あれはお前の義娘さんじゃあないか?」
 急にジェガンはその場に立ち止まると、群衆の中に指を指した。
そこには、間違いなくヤックルの姿がある。
「本当だ……パルムに来るなんて珍しいな。しかも鈴音もいる」
 ヤックルとその隣にいる鈴音の姿を遠目から確認したヘビーガンはそう呟く。
すると、その様子を見たジェガンが彼の脇を肘で小突いた。
「どうした?いつもならすぐに駆け寄っていくというのに」
 ヘビーガンの親馬鹿ぶりは彼を知るものならばその大半が知っていることである。
特にジェガンは彼との付き合いが長いため、彼が最愛の娘に駆け寄っていかないことを疑問に思ったのだ。
「いや……」
 だが、今回のヘビーガンは酷く冷静にそして客観的にヤックルを見送った。
「そろそろ、俺は子離れしなくちゃならんし、ヤックルも親離れしなくちゃならないかな………なんて最近考えていてね」
 少々寂しげにヘビーガンはそうジェガンに言った。
親鳥の元から巣立たない子鳥はいないように、ヤックルにもそろそろそういった時期が必要だと彼自身は判断したのだ。
「そうか……今でも十分独り立ちしていると思うが?」
「そうかな………だとしても、だ。いずれ完全に俺という存在に頼れない日が来る。俺がいかにキャストであろうと義娘より長生きしようとは思わない」
 「それこそあいつに親不孝させることになってしまう」と言って彼は父親らしく微笑んだ。
その顔は機械的なカメラアイなどで構成されているために微笑むことは決して出来ないが、たしかにその時彼は微笑んだのであった。
「………だがな……」
 ヘビーガンの言葉を聞いていたジェガンは、彼にとって最も手痛いであろう言葉を返す。
「そうなったら、またパイラヴァちゃんへの依存が強くなるのではないか?」
 その言葉に、ヘビーガンは乾いた笑いを返すことしか出来なかった。

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コメント

同盟軍の演習大好きなんですね。なんかよく見る気がしますよ。
私も戦闘シーンをもっと練らないとですす(・ω・`)

・・・戦闘シーンむずかしい・・。
ところで、わたしのとこでヘヴィー、ハーディー、ジェームズという同盟軍3人衆を出そうと思うんですけどいいですか?

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