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2011年10月 4日 (火)

PSPo2小説12

第12話「失踪者たち」

 先頭に立って失踪者達の形跡を辿るスペクトラの後をついていくと、次第に辺りの雰囲気が変わってゆく。
何処となく、嫌な雰囲気が漂っているように感じられたのだ。それは、坑道の外で襲撃してきたSEEDにも似たようなものであった。
「……複数の生体反応を発見。この先の空間のようです」
辺りをサーチしていたスペクトラがそう告げる。
彼女によれば、現在3人が歩いている坑道の通路の少し先にスライド式の扉があり、その先はどうやら発掘された鉱物の一種の集積場として広いホール状の空間となっているらしかった。
「失踪者……ですか?」
「恐らくは。今現在この坑道は使用されておりませんし、このような極地にあるため、滅多な事では民間人やローグスが来ることも無いでしょう」
ヤックルからの質問に、スペクトラはそう淡々とデータと照らし合わせた自らの考察を答えた。
「……ところで、この先にいる失踪者達の意識はあるの?それとも気絶しているの?」
アタナシアは現状で一番重要と思われる事項について質問をした。
失踪者達がこの先にいるとして、彼らを保護して連れて帰る場合に意識があるとないとでは掛かる労力が大幅に違う。
意識がある場合は良いものの、もし意識を失っていた場合は自分達よりも多い人数をどうにか坑道の外まで運び出さなければならない事となってしまう。
アタナシアはそれを危惧していたのだ。
「こちら側からは詳細は不明ですが、どうやら意識はあるようです。何かに警戒しているようでもありますが………」
「多分、先ほどの奇妙なSEEDでしょう?」
アタナシアがスペクトラの答えにそう言うと、2人は頷く。
「なら、早く合流した方が良いですね」
そしてヤックルがそう提案すると、3人は坑道の先にあるホールへと急ぐ。
3人が扉に近づくと、センサーはまだ生きているらしく音を立てて横へとスライドした。
ホールの中では、ガーディアンズ隊員やその他の軍事会社に所属する傭兵達が怯えた様子で周囲を警戒しているのが見えた。
「どうやら、つい先ほどまでSEEDと交戦していたようですね」
スペクトラは彼らの外見からわかる疲労や傷などでそう判断したようだ。
そうこうしている内に、警戒していたガーディアンズ隊員と傭兵達が3人に気付いたようで、一斉に扉付近へと警戒の目が向けられた。
「警戒されているようですよ?」
不穏な空気を読み取ったヤックルが緊張した面持ちでそう告げる。
少々様子のおかしいことに気付いた他の2人も、一応の警戒態勢へと入った。
「我々は、依頼によって貴方方の救援に来た傭兵です。調査は中止して、一旦各々の支部へ戻って報告を………」
実際は正規の依頼など請けてもいないのだが、捜索依頼を受けてある事にしておいた方が何かと都合が良いと思ったため、ヤックルは彼らにそう伝えたのだ。
しかし、ヤックルが声を掛けているにも関わらず何も反応らしい反応を示さず、隊列を組みながら武器を構えにじり寄って来る。
「お2人とも、スタンモードで応戦を。どうやら交戦は避けられないようです」
スペクトラの警告に、2人も各々の得物を構えるとスタンモードへと変更する。
武器を構えるとほぼ同時に、ハンタータイプの傭兵達が一斉に切りかかってきた。
ヤックルは即座にそのうちの1人が振り下ろしたセイバーを左手に持つリョウクレアサベラの片割れで受けると、空いているもう一方で胴を薙ぎ払った。
スタンモードのために相手は切り裂かれるようなことはなく、気絶する形でその場に崩れ落ちた。
薙ぎ払ったままの勢いを使い、背後から迫るもう一人に対して両刀による一撃を加え戦闘不能にさせる。
そのヤックルの後列では、アタナシアがテクニック、スペクトラがアサシンの射撃によって援護する。
「こいつら、強いぞ!」
「SEED如きにここまで……っ!!」
先頭の最中、そんな彼らの声がヤックルらの耳に入ってきた。
「SEEDって!?」
ヤックルはそう叫びを上げながらまた1人、傭兵を気絶させると横合いから迫るランスをかわす。
「どうやら、何らかの意識障害でこちらをSEEDと誤認しているようですね」
スタンモードにしたアサシンによる精密な頭部狙撃をしながら、スペクトラはそう分析し伝える。
「まずは全員を戦闘不能にするしかなさそうね!」
アタナシアはそう言うと、直撃を避けながらラ・フォイエの爆風で傭兵を数人吹き飛ばす。
前衛が大幅に吹き飛ばされたところで、後衛として援護に回っていたフォースタイプの傭兵が剥き出しとなった。
慌てた傭兵たちは、ゾンデやバータを連射して足止めを掛けてくる。
「甘い!」
それに対してアタナシアはラ・バータを敵の後衛の中心へと展開させ、瞬く間に足を氷付けにした。
こうして動けなくなったところを。ヤックルとスペクトラが残った傭兵達を1人ずつ確実に気絶させ戦闘不能にしていった。
援護を失った彼らは隊列が乱れ、急速に鎮圧されていった。
数分した後、ヤックル達は全ての傭兵を気絶させて戦闘不能にすると、全員を一応拘束した。
「これで終わりみたいね」
アタナシアはそう言いながらその場に腰を下ろす。
スタンモードでとはいえ、対人戦を行ったことにより体力と精神を共に消耗していたようだ。
ヤックルも疲労からその場に座ってしまった。
そんな中で、疲労を見せずに辺りをサーチしていたスペクトラは何かを見つけたようで、通ってきたものとは別の扉へと駆け寄った。
「スペクトラさん、どうかしたのですか?」
ヤックルはそう言い、彼女の後を追って扉へと近づく。
するとスペクトラはヤックルを一瞥して、そのまま扉へと入っていく。
「こちらの依頼対象が発見されたのですよ」
そう言う彼女の後を着いて行くと、先の通路の途中に一体の男性キャストが横たわっていた。
「彼は?」
「それは秘密です。傭兵には依頼主に関する事柄についての守秘義務がありますので……おわかりでしょう?」
ヤックルの問い掛けにスペクトラはそう返しながら口元に人差し指を当てた。
早速スペクトラは横たわっているキャストを肩に担ぐと、2人は一旦ホールまで戻り気絶した失踪者たちを監視していたアタナシアと合流して彼女の依頼目標を達成したことを話した。
「それでは、私たちとは此処までですね」
「そのようですね……。では、私はこれで失礼させていただきますが、その前にこれを」
スペクトラはそう言うと、2人に対してパートナーカードを差し出した。
「此処でこうして協力し合えたのも何かの縁、何かあればお呼びください」
2人がパートナーカードを受け取り、各々のそれをスペクトラに渡すと彼女は別れを告げて帰っていった。
その後2人は付近を探索したものの、失踪者やエマニュエルに繋がる情報は何も得ることが出来ず、拘束した失踪者を引き渡すためにガーディアンズに連絡し帰路へと着いた。

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コメント

認識を誤認させる?
用意周到なんてレベルじゃないですね…

こっちは序章で脱線してるというに、もうクライマックスですか・・・。延長希望~。

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